日本のAI国力について

米スタンフォード大学が調査したAI国力ランキングにおいては、我が国は2021年まで世界で4位であったが、2022年にインドに抜かれ5位へ、2023年においては9位へと大きく後退している。2022年にChatGPTが登場する前までは高い国力を示していたが、生成AIが世界的なブームに沸くと、その順位を一気に落としてしまったといえる。

 AI国力は様々な分野で定量評価が行われ、その合計数値で順位が決まる仕組となっている。2023年に順位を上げてきたUAE、韓国、フランスといった各国と比べて、日本は教育や多様性、世論といった分野で大きく劣後する結果となっている。加えて、研究開発やAIスタートアップへの公募投資額、人材への投資額についてもUAEと比べて大きく見劣りする結果となっている。

 日本は今後、政府、民間が一体となってAIに対する積極的な投資を行い、AI人材を増やしていく必要があると考える。サスティナビリティに関して、政府、民間が一丸となって取り組む風土が漸く出来上がりつつあるように、AIについても将来の長期的なロードマップを作り上げたうえで、中期的に取り組んでいくことを明確化し、1年ごとに進捗状況を明らかとしてうえで、その成長度合いを具現化していくプロセスを構築していかなければならない段階にきていると判断すべきである。

 AIの人材育成については一朝一夕ではなしえず、また他国から借りてくるといったことも現実的ではないため、幼少期から成人に至るまでの教育課程において、どのような教育を行い、人材を育成していくかという国家戦略が今後、問われていくことになると予想される。

 このようなAI人材の育成が全国的に進められていくということから、AIに基づくビジネス支援については国のみならず地方行政団体も積極的に関与していく必要があると考える。地方へも財源を与え、活発な投資を後押しする仕組を構築する必要があり、地域の金融機関についても役割を再定義する必要があると考える。官民一体となる仕組が地方から芽生えれば、順位に一喜一憂することなく、我が国のAI国力は盤石なものになると確信する。

 (出所)日経クロステック 2025年9月12日 中田敦

     「日本の「Ai国力」がわずか2年で4位から9位に転落、https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03079/091100019

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