ロボットへの課税、問題点、対応策

ロボットへの課税

 ロボットはものづくりの産地であるここ愛知県において、大企業の一部において、実際に導入されており、導入企業は優良企業が多く、利益を着実に計上している現実がある。今後において、導入は増加することが予想されている。

ロボットは人間の代わりに働く存在であることから、ロボットが働いた分だけ、人間がなすべき仕事が減ってしまうことは明白である。実際にかつては人間が行っていた仕事を代替しているのである。よって、仕事が減った分、所得税が減り、税収が減る結果を招いてしまうことになる。仮にロボット1台で人10人分の労働を補うことができるのであれば、10人分の所得税と同じ課税をロボットに行うべきと考える。税収の確保と雇用の安定がその目的となる。雇用については、企業は地域を守っていく社会的立場であることの必要性を忘れてはならないと考える。

 

課税対象

 1台のロボットが人間の労働時間を年間1,000時間削減することとなった場合、その1,000時間分に対し、人間が働いた場合の所得税と同程度の税金を課すことが望ましいと考える。ロボットは人間の仕事を代替し、ロボットがなければ、人間が行う仕組に基づいており、課税を行うことは一定の妥当性があると考える。

問題点

 しかしながら、ロボットといってもかなり幅が広く、定義があいまいである。ATMや自動販売機も人の代わりに動いているといえるのである。ここでは、産業用ロボットに限定してロボットを定義するものとしたい。ただし、限られたロボットにだけ課税するということは反発を招きかねない。また、投資意欲が削がれる可能性があり、結果としては経済の停滞を引き起こすことも考えなくてはならないのである。

対応策

 大企業の一部に限られ、投資に相応の資金を要するロボットへの課税の仕組が先行することは望ましいものとはいえないことから、中小企業をはじめ、ロボットへの投資については進めやすい環境を整備することが必要である。補助金の設置や融資に伴う利子補給制度等の政策等、柔軟な政策の実行が求められる。

所見

 ロボットの導入が進むにつれて、今後、単純作業や事務の仕事が減ることが見込まれている。一方で、AIやITを使いこなす新しい仕事が増え続けている。ロボットへの課税で得た財源によって、働く人はより高度なスキルを学べるようになることやリスキリングといった学びなおしに投資する環境を整備していくことが必要であると考える。

 また、ロボットの普及で働く人が減ることによって、所得税や社会保険料の収入が減ることが予想されている。ロボット課税による財源を使って、年金や医療などの社会保障制度を支えることや、あるいは、すべての人に一定の生活費を配るベーシックインカム制度の財源にすることも検討の余地がある。

 近年、自然災害については、増加の一途を辿り、また、日本のインフラ設備の老朽化が進んでいる現実より国土強靭化が急がれる。ロボットを単なる省力化や儲けのための存在と考えるのでなく、国土強靭化のための減災・防災に対する存在と位置づけ、ロボットが国土を守る存在となるようロボットの技術開発等一層の進展が望まれる。

 参考文献:Robot Tax ビルゲイツ:ロボットが人の仕事を奪うなら、ロボットに課税すべきだ https://www.gqjapan.jp/life/business/20170222/robot-tax-bill-gates

      岩本晃一「AI・ロボット税は経済の救世主か、それとも破壊者か?」

https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/124.html